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特定非営利活動法人宮崎文化本舗(宮崎県) 桑畑夏生さん

 

桑畑夏生 Kuwahata Natsuki

1983年宮崎県出身。宮崎大学の在学中に、宮崎駅前商店街の活性化事業の一環でフリーペーパー作成を行う。また大学の就職活動の状況や支援体制に疑問を感じ、友人と共に社会人と大学生を繋ぐサークルを立ち上げる。その過程で、学生時代における地域社会や地域の人との繋がりの重要性を感じ、大学卒業後、NPO法人ETIC.へ入社。コーディネート、事務局などの経験を経て、2012年宮崎へUターン。NPO法人宮崎文化本舗にて、宮崎県内での協働を推進していくためのサポート事業を行う「みやざき県民協働支援センター」の運営に携わる。

 

 

★就活を客観的に見て、画面上での企業探しに違和感を抱いた。

 

Q:そもそも、なぜ地域コーディネーターのようなことをやりたいと思ったのですか?

もともと「宮崎」に対する愛着とかほとんどなかったです。大学に入りたての頃は、入学できた事実に安堵しちゃって、大学でやりたい事も特なかったのでフラフラとしていましたね。大学の講義もそこそこに、アルバイトとサークルに明け暮れる日々でした。

そんな学生生活を変えるきっかけとなったのが、ゼミの教授との出会いでした。座学よりも、現場と実践を大事にする先生でしたので、毎週のように県内各地を巡りました。ゼミ活動の中心となっていのが、市内中心部にある商店街の活性化事業でした。商店主、商工会議所の方と何度も意見を重ね、フリーペーパーを作成するなかで、それまで何とも思っていなかった地元宮崎について自然と考えるようになったんです。

地元にも熱い想いを持って仕事に向き合いっている人がいるという事に対する驚きと嬉しさ、その一方で商店街の寂れゆく様子を目の当たりにするなかで、10年後、20年後の宮崎ってどうなっているんだろう、って。色々考えるなかで、このまま進級して就職活動には突入できない!と思い、1年間休学することを決意しました。休学中は、仲間と共にイベントを仕掛けたり、やりたい事をとことんやりました。そんな中、ふと周りに目を留めると、それまで一緒に過ごしてきた友人たちが就職活動真っ只中。皆どんな風に就活しているんだろうと話を聞いてみると、大手の就活サイトの画面と向き合いながら企業を探していたんですね。一番衝撃的だったのは「特にやりたい事はないけど、私を雇ってくれるところがあればどこでもいい」という友人の言葉。もう違和感しかなくって…就活ってそういうものなの!?と混乱してしまいました。そういう話を後輩としていたら、「じゃあ、自分たちで何かやりましょう!」という事になり、地元で頑張る社会人と学生を繋ぐ活動を開始しました。

活動を通じて、「もっと早くにこういう機会が欲しかった!」という意見を多くの学生からもらいました。確かに、就職活動のタイミングでは、将来の自分の道を考え、選択するには、圧倒的に時間が足りない。なかなか思い通りに行かない現状に苦労している学生も多かったんですよね。

この状況をどうにか変えることが出来ないかと思っているときに、たまたまETIC.の長期実践型インターンシップの事を知って、ビビビッ…!っときました。「私、このインターンシップを宮崎でやりたい!」って思ったんです。それが地域コーディネーターを志した私の第一歩ですね。

 

 

★5年という修行期間が長いか短いかはわからないが、必要な時間だった。

 

Q:どこで、どのくらい修行をしましたか?具体的な業務内容も教えてください。

大学卒業と同時にNPO法人ETIC.に入社して、丸5年修行しました。当初は1年間という約束だったのですが、気が付いたら5年も居座っていました(笑)。「どうにかしたい」という思いだけで飛び込んでしまったので、修行する前の事前準備が不十分だったのでしょうね。1年という期間では、とても収まりきらなかったです。でも、大学4年当時の私にはETIC.以外の選択肢はなかったです。私の疑問を解決しながら学べるのはここしかないと思っていましたから。

仕事内容については、インターンシップのコーディネートを1年半行い、東京ベンチャー留学(参考:http://www.project-index.jp/tvr/)の企画運営を3年、経理や国の助成事業などのバックオフィス業を2年経験しました。いろんな業務を経験させていただきましたが、なかでも印象に残っているのが、一番長く携わった東京ベンチャー留学です。2泊3日で様々な業界の経営者と出会い、話を聞くことで学生が変わっていく姿を肌で感じることができました。何百人という学生の変化に直接触れることが出来たのは本当に貴重な経験だと思っています。また、この事業を通じて、担当の上司スタッフからETIC.の細やかな気配りを徹底してたたき込まれました。例えば、イベントの案内メール一つにしても、「参加対象者は具体的にどんな人をイメージしているのか」「選んだ言葉は、イメージしている対象者の心に本当に響く言葉なのか」など細部にわたり指導してもらいました。ETIC.では如何なる時も「考える軸を自分に向けるな、常に相手の立場で考える」という事が徹底されていて、それが組織全体にきちんと浸透していたように思います。

上京したばかりの頃は、未熟さゆえ体調を崩してしまい仕事に全力投球できない時期もありましったが、自分のペースで仕事が出来るようになるとETIC.の組織への共感が日に日に強くなり、ついつい帰るタイミングを見失ってしまいました。結果5年という月日が流れてしまったのですが、自分にとっては必要な修業期間だったのかなと思っています。

 

 

★人を大切にし、組織全員で同じ気持ちをもって活動することが課題。

 

Q:地域に帰って役立っていることはありますか?

ETIC.以外の組織に身を置いたことがないので、触れるものすべてが学びでした。特にスタッフのみなさん全員がETIC.のミッションや思いを大事にしながら、一人ひとりと向き合っていたことが最大の学びです。仕事とどう向き合う姿勢は、働く環境は変わった今でも自分の中にしっかりと活きていると思います。忙しくなると、ついつい自分軸で物事を判断しがちですが、不思議とそういう時にちゃんとETIC.で教えてもらった言葉が降りてくるんですよね。

 

Q:課題に感じていることはありますか?

今は、目前の仕事に全力投球の日々ですが、「宮崎でインターンシップをしたい!」という想いに変わりはありません。また学生と接する中で、その必要性も感じています。具現化していくためにも、もっと多くの学生、そして企業の方の想いを知り、宮崎でのインターンシップの形を具体的に描いていきたいと考えています。

また、東京にいる頃と比べると宮崎はゆったりした時間軸なんですよね。それがいかんってわけではなく、宮崎の良さの一つだと思っています。その時間軸を大事にしながらも、個人としての時間軸をちゃんと持って動いていかないといけないなと感じています。あとは、飲み会が多いので飲みすぎない事でしょうかね(笑)

 

 

★想いを一つひとつ具現化していくこと。

 

Q:ご自身のキャリアの展望を教えてください。

現在、県内の協働を推進するためのサポート事業を行っております。昨年末、県内の全市町村を巡り、様々なセクターの方との意見交換を行いました。そのなかで、改めて宮崎という地域、そしてそこに生きる人々の魅力を強く感じました。一方で、地域ごとで課題に対するアプローチの仕方も、現状の認識の基準も異なり、かなりの温度差があるとも感じています。各地域で取り組まれているコトや地域の人を繋ぐことで、地域に新しい風を吹き込んでいきたいと思っています。

また年内には兼ねてから思い描いてきたインターンシップ事業にも着手する予定です。まずは出来ることから、一つひとつカタチにしていきたいと思います。

 

(2013/5/29 取材)

 

団体名:特定非営利活動法人 宮崎文化本舗

HP:http://www.bunkahonpo.or.jp/

住所:〒880-0805 宮崎市橘通東3丁目1番11号 アゲインビル2F

TEL: 0985-60-3911
FAX:0985-28-1257

E-MAIL:office@bunkahonpo.or.jp