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株式会社マチトビラ(鹿児島県) 黒田梨恵さん

 

黒田梨恵 Kuroda Rie
1987年鹿児島生まれ。立命館アジア太平洋大学卒。大学在学中に大分県別府市のまちづくり活動に取り組む。「地域活性化にはITのノウハウや広い視野が必要不可欠」と考え、卒業後、某IT企業のEC事業部を経て、2011年にNPO法人ETIC.へ入社。日本各地の地域活性化事例の発信やインターンシップのコーディネート等を行う。ETIC.での1年10ヶ月間の修行を経て、地元鹿児島へUターン後、2013年5月より現職。現在は鹿児島県内の志ある企業と学生を繋ぐコーディネーターとして活動中。将来的には鹿児島を拠点に九州全土を巻き込んだ”九州の魅力を外へ発信する九州ブランド”の確立を目指している。

 

★田舎には 「やろうと思えば何でもできる」 面白さがある!

Q:そもそも、なぜ、地域コーディネーターのようなことをやりたいと思ったのですか?
もともと出身は鹿児島県で、大学は大分県の別府市に通っていました。高校生までは、地元・鹿児島のことが嫌いでひたすら出たいと思っていました。その思いで行き着いた大分県の大学では、ひょんなことからまちづくりサークルに所属しました。そこでの活動を通して、田舎って「やろうと思えば何でもできる」面白さがあると気づき、別府のことが好きになりました。ですが、別府のことはわかったけど、地元のことを知っているかと聞かれたら知らない自分がいたんです。だから、別府でやってきたことを鹿児島でも生かしてみたいと思ったことがきっかけです。

Q:先程お話に出た、大学のまちづくりサークルでは具体的にどのような活動をしていましたか?
お祭りを通じた活性化を行っていました。若者が都会に出て行って、お祭りの文化が廃れてしまう…というのはどの地域にも共通することだと思います。でも、お祭りって「音楽」だったり「人と人とのつながり」だったり、文化の集合体だと思うので、残していきたいなと思って、活動していました。

 

★修業中は、長期実践型インターンシップのキモを教えていただきました。

Q:大学卒業後はどこで、どのくらいの期間、修業をしましたか?具体的な業務内容も教えてください。
大学卒業と同時に上京し、某IT会社に就職しました。部署はEC事業部に所属し、オンラインショッピングサイトの運営管理を行っていました。業績を上げている会社でしたが、社会的なことには取り組んでいませんでした。株式会社ですから、第一目的が売上や利益になってしまうのは当然のことですよね。加えて東京を中心に事業を行っていたからか、会社の方向性も、社員も、地域に全く関心がありませんでした。むしろ海外リゾート地などを好む人が多くて、私が地元の話をしても「九州って田舎だよね」と流されてしまうことが多く、「悔しいな」と思っていました。
その後は、自分が生まれ育った地域(九州)を全国に広めたいと思って、NPO法人ETIC.で1年10か月修行をしました。具体的な業務内容としては、インターンシップコーディネート事業が3割、そうしたインターン事業を地域に広げていくコミュニティ展開事業が7割でした。インターンシップコーディネート事業では担当企業やNPOを持ち、私は海外インターンの中国・上海担当をしていました。中国担当になったのは、偶然お話が来て、「面白そうだな」と思って引き受けたことがきっかけです。後付けとして、中国、特に上海は九州に近く、昔から貿易などで取引があったことから、今後インターン以外の面でつながりができるかもと思っていました。またコミュニティ展開事業では、主に地域仕事づくりチャレンジ大賞(参考:http://challenge-community.jp/award2012/)といった地域の現役プロデューサーの方たちと一緒につくるイベントを行っていました。全国で行われた実践型インターンシップの事例発表会を行い、それらの事例が地域にとってどういう意味になっているのかディスカッションすることで、広く情報収集できたことがよい経験になりました。
約2年の経験を通して、長期実践型インターンシップが大事にしていることやキモについて働きながら教えていただきました。そのキモとは「手をかけすぎず、放っておきすぎず、といった適度なバランス感覚」です。この感覚は現場で働いて初めてわかったので、修業をしてよかったなと思っています。

注:地域仕事づくりチャレンジ大賞…全国の地域で行われた実践型インターンシップの事例発表会

 

★修行を経て、全国の情報や関係性のネットワークを活用できていることがつよみ!

Q:2社での修行を経て、今、地域で実際に役立っていることはありますか?
たくさんあります!やっぱり地域にいると、その地域のことしか考えられなくなってしまうんです。必然的に情報量が少ないこともあげられます。ですが、ETIC.の修行のなかで得られた全国の事例や同じようにがんばっているコーディネーターとの関係性は、今、鹿児島に持ってきて生かせていると思います。またETIC.は長期実践型インターンシップを日本で一番古くやっている団体だったので、そのノウハウは鹿児島でも生かしたいと思っています。

 

★人材不足は、若者がインターンシップとして入り込める可能性がある

Q:地域でやってみて気付いた課題はありますか?
こちらで始めてまだ2週間しか経っていませんが、東京と比べると、色々なところが行き届いていないなと感じる部分があります。たとえばホームページの運営管理について。地域の人材不足から起こってしまうことなのかもしれませんが、そういう細かい部分ができない団体は地域で生き残っていけないと思っています。人材不足が原因であれば、学生などの若者が長期インターンシップとして入り込める可能性はありますよね。インターン生にホームページの運営管理を任せれば、団体としては自分たちの取り組みを素早く発信でき、学生としては戦略的情報発信の仕方が学べる、というように双方にメリットが生まれます。あとは事業を行っていくうえで、ちゃんと職業として食べていかなければならないので、お金の流れなどの経営面はしっかり自立させていきたいです。

【写真】マチトビラの受入企業中原水産さんの枕崎おだしバー。中原水産さんは本業のかつお加工に加えて、だし文化を広めていきたいと考え、インターン生を受け入れる。枕崎の物産館にブースを設置し、スープやかつおせんべいの販売などを行い、だし文化を体感できる機会を提供した。

 

★コーディネーターの仕事は死ぬまでやりたい!

Q:ご自身のキャリアに対する今後の展望を教えてください。
まず、コーディネーターの仕事は死ぬまでやりたいと思っています。違うもの同士を組み合わせて、新しいものを生み出すことに魅力を感じているので。現在もコーディネートの仕事が主ですが、他にも受入先開拓のための企業営業だったり、新規事業の立ち上げだったり、既存事業の改善だったり…。現在の団体は立ちあがって3年しか経っていないので、すべてにおいてできることはあるなと感じています。実際、社員3名、常時インターン生5名程度の団体なので、インターン生にも学生と企業のコーディネートを「社員と同じような意識と覚悟を持って」やってもらっています。また、コーディネーターだけでなく、プレイヤー側にもなりたいと思っています。九州のよさを外に発信できるようなことをやりたいです。例えば物販や飲食。なかでも九州の食材を使った飲食業はやってみたいと思っています。食材は肉も野菜もすべてが対象です。そうすると、地元の農業をはじめとした一次産業が改善する余地があるのではないかと考えています。どんどん可能性は広がっていますね。

(2013/5/21取材)

 

団体名:株式会社マチトビラ

HP:http://machitobira.org
住所:〒892-0815 鹿児島市易居町1-2 ソーホーかごしま15号室
(鹿児島市役所みなと大通り別館6階)
TEL:099-216-8115
FAX:099-216-8116
E-MAIL:info@machitobira.org